高齢者が寝たきりになってしまった…。
- 声をかけても動いてくれない。
- 無理に起こそうとすると嫌がられる。
そんな状況にお悩みのあなたのために、今回は、
- 実際に高齢者が寝たきり状態から自主的に起き上がるようになった成功例をもとに、
- 簡単で効果的な3ステップを
- 介護者の声かけや接し方のコツとともに
ご紹介します。
【実話】寝たきりのきっかけは“骨折”だった
以前は昼間はベッドから起きてソファーで過ごしていた高齢者が、腕を骨折したことをきっかけに、一日中ベッドで寝て過ごすようになってしまいました。
痛かったり力が十分に入らなかったりで、腕を使うのが不自由なことも災いして、
「動けなくなっても構わない。」
「もう死んでもいい。」
そんな言葉まで出るくらいに、動こうとする意欲も生きる気力さえも低下してしまったのです。
起き上がれるかどうかで、本人の苦痛も介護者の負担も大違い
着替え、食事、トイレ、入浴など、日常の介護の多くは“起き上がること”が第一歩です。
仮に、それらのすべてをベッドの上で行おうとすると、本人にとっても不自由でつらく、介護者にとっても大きな負担になります。
逆に、高齢者が自分で起き上がれるようになるだけで、本人の生活の質(QOL)も介護者の負担も大きく改善されます。
そうなることを狙って、ある“工夫”をしたところ、本人が自ら積極的に起き上がるようになりました。
次では、その具体的な3ステップをご紹介します。
【実例紹介】高齢者が自主的に起き上がった3ステップ
例えば、正攻法で「寝てばかりだと動けなくなるから、起きてほしい」と伝えても、拒否されてばかりでした。
そんな状況を打破できたのが、“お茶好き”という本人の好物に着目した声かけでした。
ステップ1:好物であるお茶を勧める
お茶の入ったペットボトルやコップを手に持ち、
「お茶でも飲みませんか?」
とやさしく声をかけます。
お茶が好きなこの高齢者にとって、これは自然で受け入れやすい提案でした。
本人の“好きなもの”=動機づけになる要素を活用することが第一歩です。
必ずしもお茶である必要はなく、コーヒーでも水でも、本人が喜んで応じてくれる“飲み物”であれば何でもOKです。
ステップ2:「起きて飲んだ方が安全ですよ」と伝える
続けて、
「寝たまま飲もうとしてこぼすと大変なので、起きた方が安全ですよ。」
と提案します。
これは「起きろ」と介護者の意思に従わせるのではなく、納得できる理由を添えて自発的な行動を促す声かけです。
本人の意思で行動を起こすように仕向ける伝え方が、拒否感をやわらげます。
ステップ3:「車椅子の方が楽ですよ」と促す
起き上がったそのタイミングで、あらかじめ近くに用意していた車椅子を指差し、
「背もたれも肘掛けもあって楽ですよ。こっちに座りませんか?」
と声をかけます。
人は“楽な方を選びたくなる”傾向があるため、快適さが増す選択肢を提示することが効果的でした。
タイミングがカギ!成功の秘訣
この3ステップ成功させるためには、“声をかけるタイミング”がカギになります。
実際に、眠っている最中にそうとは気付かずにお茶を勧めた時は、睡眠欲が上回ったためか、断られてしまいました。
逆に、目が覚めていて、落ち着いているタイミングで声をかた時は、喜んで起き上がってくれました。
起き上がりは“目的”ではなく“通過点”
“起き上がること”を目的にするのではなく、“飲み物を飲む”や“トイレに行く”などの目的を達成するための“通過点”として必然的に体を起こす流れを作るのがコツです。
このように、
- 好きなものを動機にする
- 行動する理由を納得できる形で伝える
- 快適さが増す選択肢を提示する
- 適切なタイミングで声をかける
この4つを意識することで、寝たきりの高齢者に起き上がってもらうための声かけや接し方は前向きな方向へ変わって行きます。
高齢者の自立支援と介護者の負担軽減のために
今回ご紹介した方法は、特別な知識や道具がなくても実践できる、実話に基づいたアプローチです。
高齢者が自主的に起き上がるようになることで、本人の生活の質(QOL)が上がり、介護者の心身の負担も軽くなります。
今回ご紹介した方法が、あなたの日々の介護に役立ったならば幸いです。