食べ物を一口大に切り分けて提供することは、咀嚼機能が低下した高齢者にとって、安全でスムーズな食事のための有効な方法の一つです。
しかし、咀嚼機能に問題がない高齢者でも、一口大に切り分けることで食事時間が短縮できるケースがありました。
今回は、その事例を紹介いたします。
食事時間が長くなる要因
高齢者の食事時間が長くなる要因として今回注目したのは、食べ物を口に入れる前の段階です。
具体的には、ある高齢者は、出て来た食べ物をそのままの大きさで口に運ぶのではなく、先ず、箸を使って自分で一口大に切り分けていました。

これが終わった後で初めて器から取り上げて、口に入れていました。
つまり、咀嚼でも、食べ物を口に入れることでもなく、更その前段階である食べ物を口に入れやすい適当な大きさに小分けすることに時間がかかり、結果として食事全体の時間が長くなっていたのです。

食事時間が長くなることの問題点
高齢者の食事時間が長すぎると、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 食事時間が長くなると疲れてしまい、十分に食事を摂れない。
- 栄養摂取が不十分になり、健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
- 介護者が食事に長時間付き合う必要があり、負担が増える。
解決策:食べ物を一口大に切り分けて提供
そこで、食事を提供する際に、あらかじめ食べ物を一口大に切り分けて提供してみました。
その狙いは、以下の2点です。
- 高齢者が自分で食べ物を切り分けずに、すぐに口に運べる。
- 食事時間が短縮でき、高齢者も介護者も負担が軽減される。
実施した結果
結果は、狙い通りでした。
食べ物を口に運ぶまでの時間が短縮され、スムーズに食事が進みました。
介護者の負担も軽減されました。
上手く行った理由
食べ物を一口大に切り分けて提供することで、口に運ぶ前段階を省くことができたのが上手く行った理由と考えられます。
食べ物を一口大に切り分けて提供することは、通常、咀嚼機能が低下している高齢者に対して行う工夫です。
ですが、咀嚼ではない他の段階においても、食事の進行をスムーズにするために有効であることが分かりました。
一口大に切り分けることの意外な効果
今回の事例は、咀嚼機能に問題がない高齢者でも、一口大に切り分けて提供することが有効であることを示しています。
食事とは、様々な段階を経た結果成立する複雑な行為です。
そのどこかで滞りがある場合、本来の目的とは異なる方法が有効な場合があります。
もし、あなたが接する高齢者の食事時間が長くて困っているならば、一口大に切り分けて提供する方法を試してみてはいかがでしょうか?